明るい部屋

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【映画】「式日」を観て。

庵野秀明監督の「式日」を観ました。

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式日」2000年公開 監督:庵野秀明

現在Amazon Prime Videoにて配信中です。どうぞこの機会に。

www.amazon.co.jp

 

以下ネタバレを含みます。

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要約すると一人の女性がトラウマを克服するまでの物語でした。

彼女は自分で作り上げた妄想の中に浸っていて、現実が直視できない状態でした。

そこに主人公である男が干渉することで彼女の解決の糸口となり、新しい世界"現実"へとカーテンを開けるような物語でした。

この映画では男のモノローグが主体となり物語が始まります。

それは男を通して庵野秀明が常日頃思っているようなことが散りばめられていました。

「実写もやってみたかったんだよね」

「映画は寂しさや退屈を紛らわすための装置に過ぎない」

この映画意外にも「ラブ&ポップ」の実写があるが、そこではこのようなモノローグはない。

そして綾波レイの声優でもある林原さんの声が劇中で語りかけてくる。

おそらく庵野監督にとってこの映画が何か重要な意味を持っていることが伺えます。

 

人は過去の経験からその日の行動や言動などを選択しています。きっと未来も。

彼女はずっと過去のトラウマに縛られ、明日を選択することができずに毎日同じ日を過ごしている。

きっとこれは私たち現代に生きる人たちにも繋がることで「言わなかったこと」や「言えなかったこと」、「行かなかったこと」や「行けなかったこと」などが個人の過去にあり、それを達成しないまま生きる精神のようなものがあると思います。(少なくとも僕にはある。)

そういった選べなかった過去を後悔するのではなく、今目の前にある現実と向き合ってじゃあこれからどうしていくか、どう解決していくかを選択していくような、前向きになる精神になるまでの物語、そういう風に捉えました。

僕はこの映画を観終わったあとは何か晴れやかな気持ちになり、自分自身の選べなかった過去を振り返るのではなく、何か前向きな方向で乗り越えて行こう、と考えている今があります。

だから色々な人に観て欲しいと思いました。

 

 

ラストシーンでは母親と彼女の対話があります。

同監督の作品エヴァンゲリオンシリーズでもよく母と子の関係性が出てきおり、その作品でも重要なテーマとなっています。

シン・エヴァンゲリオンの公開が2021年の1月に決まっています。

きっとシン・エヴァンゲリオンはこの作品と同様にトラウマの克服と明るい未来への一歩という形で終わるのではないかと思います。きっと必ずハッピーエンドで、鑑賞者の"貴方"に訴えかけるような作品になると思っています。

 

僕はシン・エヴァンゲリオンを観たらきっと何かが自分の中で大きく変わるのではないかと思っている。きっと過去も未来もない、現実だけの真っ白なキャンパスが、なんでも描けるようなキャンパスが、僕の目の前一面に広がるような感覚になるのではないかと思っています。僕は自分の世界に引きこもりがちである。休日にはあまり人と遊ばないように。(これは趣味の合う友人がご近所に居ないからなだけだということが最近わかった。勿論それでも自分の世界からは出ていかない。)誰かが言っていた"君は変わらないといけない"といったことがシンを観ることで変わるのだとなんとなく思っている。

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今週から寒波が押し寄せ全国的に寒くなってまいりました。

雪がたくさん降り積もる地域もあるようです。

みなさんくれぐれも体調に気をつけて。

よい日々を。

【映画】「We Margiela」を観て。

We Margielaを観てきました。

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1年ほど前にフランスで公開されることを知ってから昨年2018年の10月くらいに日本での公開がアナウンスされましたね。本国公開前にはofficial home pageから登録すると手書きのナンバリングされた紙と写真が付いてくるメーリングがあったそうで、いつも行っている美容室の方が登録していて見せて貰いました。

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マルタン・マルジェラにとっても特別な国のひとつの日本でも公開されると知って、どんなプロモーションを掛けるのか興味があったのですが…

前売り共通鑑賞券についてきた付録が“We Margiela“と記載されたクリアケース…

ãWe margiela ã¯ãªã¢ã±ã¼ã¹ãã®ç»åæ¤ç´¢çµæ

とても日本らしいです。

上記の影響もあって少し期待しない方が良いのかな?いや、悪いはずがないと思いながら観に行ったのですが、やはり映画自体はとても良かったです。

同時に一般的にはコアな内容だし逆にここまでプロモーションしないと観に来る人少ないだろうな…とも思いました。

前言撤回、プロモーション会社の方々、日本で公開してくださってありがとうございます。

事前情報として観に行った方(おそらくあまり映画をたくさんみていない方)からは"眠い、退屈だ、マルタンマルジェラに関する新しい情報がなかった、これまでの情報を補完しているだけだった"などネガティブな意見を聞いていました。

しかし、上映前に時間があったのでパンフレットを購入し読むと、これは"マルジェラの映画"ではないことがわかりました。失踪した人を題材にした作品を作りたいと思い、マルジェラについて全く知らない状態から時間をかけて制作したとありました。”失踪した人の映画”と捉えるとものすごく良いドキュメンタリー映画でした。マルジェラの匿名性もあって本人が決して出てこない、話の中で語り継がれるという点も映画の趣旨としてとても合っていたと思います。

劇中の効果として、マルタンマルジェラのパートナー “ジェニー・メイレンス “が喋る場面になると画面がまっ白のモノローグ調になるのですが、これがまるでMartin Margielaの白タグを見ているような印象を受けました。

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ジェニー・メイレンス

劇中に “白は人を映し出す特別な色 “という表現もあることから"白タグを覗いてMartin Margielaの真相を覗いているような感覚"に陥ることができ、とても素晴らしい効果だと感じました。もしDVDやオンデマンドでの鑑賞を考えている方は劇場で観た方が良いです。

ネタバレになるので詳しくは書きませんが、マルタンがブランドをどのようにして去ったかを全く知らなかったので今回の映画で知ることができたのですが、そのタイミングが本当に最高だなと思いました。

自分もマルタンのようにずっとインディペンデントであり続けたいしくだらないと思うことはくだらないと軽蔑していこうと思いました。

監督は違法なレイヴパーティで映画上映していたところ最後の方で警官に取り押さえられそうになった経験があるらしく、他の作品も見てみたいと思いました。

ただ、邦題の"マルジェラと私たち"は間違いで”私たちマルジェラは"が正解だと思います。

Joy Division - Warsaw (和訳:Translated Japanese means)

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 私はバンドでJoy Divisionのカバーをやっている。歌詞を覚える際に和訳して覚えたので自分なりの訳をここに記す。どこかの誰かの為になれば嬉しい。

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3, 5, 0, 1, 2, 5, Go!

 

I was there in the back stage,

バックステージに居たとき

When first light came around.

最初のライトが周りを照らしたとき

I grew up like a changeling,

まるで変わったかのように成長する

To win the first time around.

それは最初のラウンドで勝つために

I can see all the weakness.

俺には全ての弱点が見える

I can pick all the faults.

俺は全ての欠点を選べる

Well I concede all the faith tests,

えっと、全ての信仰検査を認めているよ

Just to stick in your throats.

ただお前の喉に貼るためにな

 

31G, 31G, 31G

 

I hung around in your soundtrack,

お前のサウンドトラックで遊んでいる

To mirror all that you've done,

お前がした事の鏡だ

To find the right side of reason,

理由の右側を探している

To kill the three lies for one,

一つのために3つの嘘を殺すために

I can see all the cold facts.

全ての冷たい嘘が見える

I can see through your eyes.

貴方の目を通して見える

All this talk made no contact.

これらの話から何も生まれない

No matter how hard we tried.

どれだけ試しても

 

31G, 31G, 31G

 

I can still hear the footsteps.

まだ足音が聞ける

I can see only walls.

壁しか見えない

I slid into your man-traps,

貴方の魅力的な罠に入り込んだ

With no hearing at all.

誰の話も聞かずに

I just see contradiction,

ただ矛盾を見たんだ

Had to give up the fight,

この戦いに降参するしかない

Just to live in the past tense,

過去にいるのならば

To make believe you were right.

あなたが正しいと信じるために

31G, 31G, 31G

3, 5, 0, 1, 2, 5

 

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様々な所で書かれているが、この奇妙なナンバー”31G-350125”とはNazisの幹部であるルドルフ・ヘス強制収容所に入れられた際の囚人番号である。そういう意味ではJoy Divisionたらしめる曲は他の有名なLove Will Tear Us ApartやTransmissionよりもこのWarsawであろう。

 

バンドでカバーした際の映像へのリンクをここに記します。

Warsaw - Joy Division (Copy) live Osaka, Japan - YouTube

Joy Division - Digital (和訳:Translated Japanese means)

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自分は自分は大阪でJoy Divisionのカバーバンドをやっている。歌詞を覚える際に和訳ないし意訳を行なって覚えた。その際の自分なりの意訳をここに記す。どこかの誰かの為になれば嬉しい。

 

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Feel it closing in,

それが近づいてくる
Feel it closing in,

それが近づいてくる
The fear of whom I call,

誰かが私を呼んでいる怖さ
Every time I call

いつでも呼ばれている
I feel it closing in,

それが近づいてくる
I feel it closing in,

それが近づいてくる
Day in, day out,

昼も 夜も
Day in, day out...

昼も 夜も

 

I feel it closing in,

それが近づいてくる
As patterns seem to form.

パターンが形成されていくように見える
I feel it cold and warm.

それは冷たくも暖かくも感じる
The shadows start to fall.

影が落ち始める
I feel it closing in,

それが近づいてくる
I feel it closing in,

それが近づいてくる
Day in, day out,

昼も 夜も
Day in, day out...

昼も 夜も

 

I'd have the world around,

私は周りに世界を持っていた
To see just whatever happens,

ただ起こった事を見るために
Stood by the door alone,

ドアの側で一人で立っている
And then it's fade away,

そしてそれは消え去り
I see you fade away.

あなたが消えていく
Don't ever fade away.

行かないでくれ
I need you here today.

今日ここに貴方が必要だ
Don't ever fade away.

行かないでくれ

Don't ever fade away..

行かないでくれ…

 

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Joy Division - Digital - YouTube

【映画】「ロスト・イン・トランスレーション」を観て。

ソフィア・コッポラの"The Beguiled / 欲望の目覚め"が日本で公開されるということでコッポラの過去作"Lost in Translation"を観ました!

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Lost In Translation trailer

 

コッポラの作品では他に"SOMEWHERE"と"BRING RING"を観たことがあるのですが、Lost in Translationは"SOMEWHERE"然りハリウッド・スターのジレンマにボーイ・ミーツ・ガール的な要素が加わる物語でした!

スカーレット・ヨハンソン本当に美人ですね。ホテルの窓から半分下着姿で東京の街を見下ろす姿がとても退屈で美しく、絵になります。

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この映画では音楽がとても自分好みなものがかかり、mbvやThe Jesus and Mary Chainの曲が良い場面で流れました。

音楽好き, 特にグラスゴーな音楽が好きな方なら最高になれる映画です。

mbvのSometimesがタクシーからの車窓で流れるシーンがこの映画の1番の見せ場だと自分は感じました。

車に乗っている時やドライブする際に聴いた音楽は頭の中に鮮明に残るような気がします。自分の場合は大阪に行く前の最後の年に、Radioheadの"The Bends"をよく聴いていたのでふとした時にThe Bendsの曲を聴くとあの頃の不安と期待の入り混じった感覚を思い出します。慣れ親しんだ環境と今持っている感情をこのままここに置いて行って良いのだろうか、何か失ってしまうのではないだろうか、まるで長年付き合った恋人と離れる様な気持ちで考えていましたが、結局は富山も大阪も、過去も未来も地続きなので、失うものは何もありませんでした。

 


Radiohead - High & Dry

 

この映画の様に誰かと出会ってお互いの人生が良い方向に進む様な、そんな人と出会えて、体験できると良いです。

コッポラの作品にはエマ・ワトソンエル・ファニングなど目を見張るような美人が出てきてとても良いです。

BRING RINGではエマ・ワトソンが悪いギャルの役をしていますが、ハリーポッターと賢者の石のエマ・ワトソンしか記憶に無かった自分には”最近のエマ×ギャル”がかなり衝撃的でした。この世にはエマが好きすぎて裸体の彫刻や人魚のエマの彫刻を自分にとってのミューズとして作ってしまうアーティストが居るのですが、その気持ちが分かりました。

 

The Beguildではファンのエル・ファニングが出演する様なのでとても楽しみです!


The Beguiled Teaser Trailer #1 (2017) | Movieclips Trailers

 

【映画】「ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男」を観て。

Dries Van Notenの映画”Dries”を観ました。

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先日”Yves Saint Laurent”を観たばかりなのでデザイナーの姿というものがサンローランと比べることが出来ました。

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サンローランはどこか思いつきや閃きから来るインスピレーションだったり思い切ったことを堂々と行う様なクリエイションが特に目立っていたと思います。

モンドリアンの作品から着想を得たモンドリアンルックや、これまで紳士服の伝統で男性の物であったスモーキングジャケットを女性に着せて女性の人権を主張したりなど、思い切った物が多い様に思います。

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しかしドリスはスタイリングを実際に布を当てがいながら行うなど、どこか研究的な部分があり、それは自分たち庶民がショップや自室で行っているような、”合わせて試してみる行為”と同じ行為でスタイリングを決めて、自分たちとあまり変わらないと親近感さえ湧きました。

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合わせて楽しむ、模索する、発見する。それが出来るのはドリスのクリエイションの根本に”クラシック”があるからだと思います。クラシックがベースにありそこから発展させたり敢えて崩したりバランスをとったり、そこから新しいスタイルが生み出されていく。

 

ドリスの服が他の服と合わせやすいこと、シーズンをまたいで合わせやすいことはそこにも由来していると思います。

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 とにかく、知性と感性と人格のバランスがとても良い方だなと見て感じました。

服作りに関しては質実剛健、硬派なイメージで堅実なものづくりがタイムレスなクリエイションを産んでいる。そう感じさせられました。

これからもお世話になります。